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論文紹介(3) 日本のHIV陽性者における差別経験と心理的苦痛との関連に対するHIVステータス開示の調整効果の検討

 

論文紹介(3)のバナー画像当研究班の調査結果が英文論文誌に掲載されました。
公開日:2024年6月28日
本ページでは、その日本語サマリーを紹介します。
原文(英語)は、こちらをご覧ください。
Investigating the Moderating Effect of HIV Status Disclosure on the Link Between Discrimination Experience and Psychological Distress Among People Living with HIV in Japan Infected Through Sexual Contact

 


 

日本のHIV陽性者における差別経験と心理的苦痛との関連に対するHIVステータス開示の調整効果の検討

三輪岳史、若林チヒロ、林神奈、田沼順子、池田和子、横幕能行、生島嗣

HIV陽性者(PLWH)において、友人や家族へのHIVステータスの開示が、差別によるメンタルヘルスへの負の影響を緩和する可能性については、これまで十分な検討がなされていない。本研究は、日本におけるPLWHの差別経験およびHIVステータスの開示状況を把握し、これらが心理的苦痛とどのように関連するかを評価することを目的とした。2019年から2020年にかけて日本全国で実施されたPLWHを対象とする横断調査のデータを用いた。HIV関連差別およびHIVステータス開示と心理的苦痛との関連、ならびにそれらの交互作用を、ロジスティック回帰分析および線形回帰分析により検討した。解析対象者804名の年齢中央値は46歳であった。大多数は男性であり、85.4%(687/804)が同性愛者または両性愛者であった。全体の12.7%(102/804)は、最近HIVステータスに起因する差別を経験していた。HIV関連差別の経験は、高い心理的苦痛と独立して関連していた(調整オッズ比 2.02、95%信頼区間 1.15–3.57)。さらに、友人へのHIVステータス開示は、差別経験と心理的苦痛との関連を部分的に緩和する効果を示した(回帰係数 −3.115、p=0.004)。差別の解消を目的とした介入は引き続き重要である一方、PLWHが安心してHIVステータスを開示できる友人との交流機会を促進することも、メンタルヘルスの保護に寄与する可能性が示唆された。

本研究は、平成30年~令和2年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)「地域においてMSMのHIV感染・薬物使用を予防する支援策の研究班」の一環で実施した。